適正受診にご協力ください

こんなにかかる医療費の実際

安易に医師にかからない

被保険者であるみなさんは、医師にかかっても医療費の3割相当を払えばすみます。こんなことから、安易に医師にかかる人もみられます。しかし、医療費はけっしてわずかな額ではすみません。みなさんの想像以上にかかるものなのです。

医療費の大部分は健康保険組合が負担

たとえば、どうもかぜをひいたらしいと思って、被保険者であるみなさんが診療所に2日間通院した場合、下表のように合計4,290円もの医療費がかかるのです。みなさんが支払う額は、1,290円ですみますが、健康保険組合から医療機関に支払われる額は3,000円になります。

かぜで2日間通院治療した場合〈診療所(院外処方)の場合・概算〉

内容 料金
初診料 2,880円
再診料(1回分) 730円
処方せん料 680円
合計 4,290円
被保険者・被扶養者負担額(3割) 1,290円
健康保険組合負担額(7割) 3,000円

(2019年10月現在)

ふだんの健康管理を大切に

軽いかぜでもこれだけのお金がかかるのですから、何日も入院を要する病気などとなるとたいへんな金額になることは容易に想像できます。本当に必要なときに健康保険のメリットを享受できるようにするためにも、みなさんのふだんの健康管理がとても大切です。

休日・夜間診療などは高くつく

時間外、休日、深夜の診療には、通常の料金に規定の割増料金が加算されます。

医師が定めた診療時間外の受診は、初診の場合では850円、再診の場合では650円が加算されますし、これが休日だと初診時2,500円、再診時1,900円、深夜(午後10時から午前6時まで)になると、初診時4,800円、再診時4,200円が加算されることになっています。

電話による医師への相談も有料

一度診てもらったあと、容態が気になって、医師に電話をして指示を求めるような場合も、再診の場合と同じ医療費が請求されます。

やむを得ないとき以外は、こうしたことも考慮して受診しましょう。

時間外・休日・夜間受診はこれだけかかる〈一般的な診療所の場合※〉

初診時 再診時
時間 初診料 加算額 初診料 加算額
時間外 2,880円 850円 3,730円 730円 650円 1,380円
休日 2,500円 5,380円 1,900円 2,630円
深夜 4,800円 7,680円 4,200円 4,930円

(2019年10月現在)

  • ※診療所とは、医師または歯科医師が医業または歯科医業を行う場所で、患者の収容施設を有しないもの、または患者19人以下の収容施設を有するものをいいます。これに対し、病院とは、患者20人以上の収容施設を有するものをいい、両者は基本料金(基本診療料)に違いがあります。

重複診療は医療費のむだ遣い

ハシゴ受診は医療費増を招く

重複診療とは、ある病気で、同時に複数の医療機関にかかることをいいます。初めにかかった医師の診断や治療に納得できなくて、別の医師を訪れるというのはいいほうで、なかには次から次へと病院の“ハシゴ”をする人もいます。

患者にとってマイナス

重複診療は患者にとって大きなマイナスとなります。

医師は患者の訴えや症状によって検査や治療をしますが、病院を転々としてしまうと、それまでの治療は中断し、次の病院ではまた検査からやり直さなくてはならない恐れもあります。これでは肝心の病気をかえって長引かせてしまうことにもなるのです。

危険な注射や薬のダブリ

薬・注射の重複による弊害も心配されます。一般に医師が扱う薬は、市販薬より強い薬効を示すものが使われていますから、重複診療で必要以上の注射をされたり、双方の医師から出された薬を服用するのは非常に危険です。

医師の治療などにどうしても納得できないときには、そのことを医師に伝えて話し合ってみましょう。もし転院することになっても、治療データを提供してもらえれば、次の診療で検査や薬の重複という危険が避けられます。

さらにこうした行為は、いたずらに医療費を増やしてしまいます。たとえば、同じ症状で1日に2軒の医院にかかった場合、患者はわずかな費用を負担するだけですみますが、健康保険組合には2つの医院から費用請求がまわってきます。それぞれの医院では、同じ症状に対しては同じ診察が行われますから、通常の倍の額が請求されることになるわけです。

こんなむだな医療費のために「病気になったときにこそ手厚い給付を」という健康保険の本来の機能が失われるようなことがあってはなりません。